HASHIMA
長崎県長崎市の沖合い17.5キロメートル先に浮かぶ島「端島」。水平線上に浮かぶその戦艦のようなシルエットにちなみ、人はその島を“軍艦島”と呼ぶ。歪にそびえ立つ廃墟群やその独特な風貌と共に、近代遺産としての歴史的価値が人々の関心を引き付ける。
端島と長崎の人々との関わりは古く、1810年の石炭発見から江戸時代後期まで漁民達によって露出炭が採炭され、明治以降は三菱社による組織的な採炭が行われるようになった。端島は、良質な石炭が採炭される端島炭鉱として名を馳せ、隣接する高島炭鉱とともに、日本の近代化を支えてきた炭鉱の一つとなる。
日本の建築史から見てもこの端島の成り立ちは特異であり、日本で最初の鉄筋コンクリート製高層アパート(30号棟)が建てられるという、当時の最先端技術が建築に導入された。島内では、病院から映画館、パチンコ屋などライフラインから娯楽というほぼ完結した都市機能を有し、最盛期の人口は5,267人と世界最高の人口密度を誇った。
1970年代以降、石炭から石油へとエネルギーの転換により1974年1月15日に閉山した。日本の近代化を支えたかつての栄光の艦は、ただ朽ち行くコンクリートの残影のみとなった。























